住宅ローンを選ぶとき、多くの人が迷うのが「変動金利」と「固定金利」です。今は変動金利の方が低いことが多いものの、将来上がるかもしれないという不安があります。 将来の金利は誰にも予測できませんが、「変動金利がどこまで上がったら固定金利の方が得だったことになるか」という逆転ラインは計算できます。 この記事では、変動金利0.8%・固定金利1.8%という説明用の仮の金利を使い、5,000万円を35年で借りた場合を比べます。 実際の金利は金融機関や時期によって違うので、自分が提示された金利で同じ計算をしてみてください。
2つの金利のしくみ
変動金利
市場の金利に合わせて、借りている途中でも金利が見直されるタイプです。一般に借りる時点の金利は低めですが、金利が上がれば返済額も増えます。 金利が下がれば返済額が減る可能性もあります。
全期間固定金利
借りたときの金利が完済まで変わらないタイプです。借りる時点の金利は変動金利より高いことが多い一方、毎月の返済額がずっと同じなので家計の計画が立てやすくなります。 このほか、最初の数年だけ金利を固定する「固定期間選択型」もあります。
35年間の総返済額を比べる
| 金利の動き | 最初10年の平均月額 | 10年後の残債 | 35年間の総返済額 | 固定金利との差 |
|---|---|---|---|---|
| 固定金利 1.8% | 160,546円 | 3,876.2万円 | 6,742.9万円 | — |
| 変動 0.8%のまま | 136,530円 | 3,711.2万円 | 5,734.3万円 | −1,008.6万円 |
| 変動:5年後に1.8%へ | 146,832円 | 3,793.8万円 | 6,476万円 | −266.9万円 |
| 変動:5年ごとに0.5%ずつ上昇(2.3%まで) | 141,569円 | 3,753.3万円 | 6,541万円 | −201.9万円 |
| 変動:5年後に2.8%へ | 158,014円 | 3,869.5万円 | 7,281.2万円 | +538.2万円 |
変動金利が0.8%のまま続けば、35年間の総返済額は固定金利より約1,008.6万円少なくなります。 最初の10年間でも、月々の返済は約2.4万円軽くなります。 変動金利が5年後に固定金利と同じ1.8%まで上がっても、最初の5年間に低い金利で元金を多く減らせているため、総返済額はまだ変動の方が少なくなりました。 一方、5年後に2.8%まで上がるケースでは、固定金利より約538.2万円多くなります。
逆転ライン:変動金利が何%になったら固定が得か
変動金利0.8%で借り、ある時点で金利が上がってその後ずっと続く場合に、35年間の総返済額が固定金利1.8%と同じになる金利を計算しました。
| 金利が上がる時期 | この金利を超えると固定の方が得 |
|---|---|
| 3年後 | 1.99% |
| 5年後 | 2.15% |
| 10年後 | 2.70% |
ポイント:金利が上がる時期が遅いほど、逆転ラインは高くなります。低い金利で払える期間が長いほど、変動金利の「貯金」が増えるためです。 逆に、借りてすぐに金利が上がると、固定金利との差は小さくなります。
総返済額だけで決めない方がいい理由
- 家計が耐えられるか:総額で得でも、金利が上がった時期の月額に家計が耐えられなければ意味がありません。上の表の月額を手取り収入と比べてみてください。
- 途中で売る予定:10年で売るなら、比べるべきは35年の総額ではなく10年間の支払いと10年後の残債です。
- 5年ルール・125%ルール:変動金利の商品によっては、金利が上がっても返済額をすぐには増やさないルールがあります。月額の急増は抑えられますが、利息が減るわけではありません。当サイトの試算はこのルールを再現せず、金利が変わった月から返済額を計算し直します。
- 安心感の価値:固定金利の上乗せ分は、金利上昇のリスクを金融機関に引き受けてもらうための「保険料」とも言えます。
変動金利を選ぶなら決めておきたいこと
- 金利が何%になったら繰上げ返済や借り換えを検討するか、自分のラインを決めておく
- 固定金利との月額の差を、使わずに貯めておく(金利が上がったときの備えになる)
- 年に1回は自分のローンの適用金利と残債を確認する
金利が上がった場合の月額の増え方は金利が1%上がったら月々いくら増える?で借入額別にまとめています。 どれくらい借りるかは年収からいくらまで借りられる?も参考にしてください。
自分の条件で確かめるには
詳細試算で変動金利を選び、「金利変動パターン」に何年後に何%へ上がるかを入れると、平均月額と残債が計算されます。 固定金利で計算した結果と並べて、自分の借入額での差を確かめてみてください。 実際の金利は各金融機関や住宅金融支援機構(フラット35)のサイトで確認できます。