「家賃を払い続けるのはもったいない」とよく言われますが、家を買うと購入時の諸費用がかかり、売るときにも費用がかかります。 短い期間で売ると、この費用を取り戻せずに賃貸より高くつくことがあります。では何年住めば購入の方が得になるのでしょうか。 この記事では、5,000万円のマンションを買って何年か後に売る場合と、同じ期間を家賃18万円の賃貸で暮らす場合を、当サイトのシミュレーターと同じ計算式で比べます。
比較の条件
- 購入:価格5,000万円をフルローン(35年・金利1%固定・元利均等)で購入
- 住居費:ローン返済、管理費・修繕積立金(各月1.5万円)、固定資産税の目安(価格×15%×1.4%)
- 購入時の諸費用:仲介手数料・登記費用・ローン手数料などで約347.5万円
- 売却時:売却価格の4%を売却費用とし、ローンの残債を返して残った額を手取りとする
- 賃貸:家賃18万円、2年ごとに家賃1か月分の更新料
購入の「実質支出」は、購入時の諸費用+住んでいる間の住居費−売却時の手取りで計算します。 ローンで返した元金は、売るときに残債が減るという形で手取りに戻ってくるため、この式で賃貸の家賃総額と公平に比べられます。
住む年数ごとの比較
| 住む年数 | 売却価格 | 売却時の手取り | 購入の実質支出 | 賃貸の総額 | 差(賃貸−購入) |
|---|---|---|---|---|---|
| 3年 | 4,850万円 | 19.4万円 | 975.7万円 | 666万円 | −309.7万円 |
| 5年 | 4,750万円 | 171.8万円 | 1,255.1万円 | 1,116万円 | −139.1万円 |
| 10年 | 4,500万円 | 574.9万円 | 1,931.3万円 | 2,250万円 | +318.7万円 |
| 15年 | 4,300万円 | 1,059万円 | 2,526.6万円 | 3,366万円 | +839.4万円 |
| 20年 | 4,100万円 | 1,577.7万円 | 3,087.2万円 | 4,500万円 | +1,412.8万円 |
| 住む年数 | 売却価格 | 売却時の手取り | 購入の実質支出 | 賃貸の総額 | 差(賃貸−購入) |
|---|---|---|---|---|---|
| 3年 | 5,000万円 | 163.4万円 | 831.7万円 | 666万円 | −165.7万円 |
| 5年 | 5,000万円 | 411.8万円 | 1,015.1万円 | 1,116万円 | +100.9万円 |
| 10年 | 5,000万円 | 1,054.9万円 | 1,451.3万円 | 2,250万円 | +798.7万円 |
| 15年 | 5,000万円 | 1,731万円 | 1,854.6万円 | 3,366万円 | +1,511.4万円 |
| 20年 | 5,000万円 | 2,441.7万円 | 2,223.2万円 | 4,500万円 | +2,276.8万円 |
| 住む年数 | 売却価格 | 売却時の手取り | 購入の実質支出 | 賃貸の総額 | 差(賃貸−購入) |
|---|---|---|---|---|---|
| 3年 | 5,150万円 | 307.4万円 | 687.7万円 | 666万円 | −21.7万円 |
| 5年 | 5,250万円 | 651.8万円 | 775.1万円 | 1,116万円 | +340.9万円 |
| 10年 | 5,500万円 | 1,534.9万円 | 971.3万円 | 2,250万円 | +1,278.7万円 |
| 15年 | 5,800万円 | 2,499万円 | 1,086.6万円 | 3,366万円 | +2,279.4万円 |
| 20年 | 6,100万円 | 3,497.7万円 | 1,167.2万円 | 4,500万円 | +3,332.8万円 |
「差」がプラスなら購入の方が支出が少なく、マイナスなら賃貸の方が少ないことを示します。
購入が有利になる年数の目安
| 売却価格の動き | 購入の方が支出が少なくなる年数 |
|---|---|
| 毎年-1% | 7年目から |
| 横ばい | 5年目から |
| 毎年+1% | 4年目から |
価格が横ばいの場合、3年で売ると購入の実質支出は831.7万円、賃貸は666万円で、賃貸の方が約165.7万円少なくなります。 5年になると購入が1,015.1万円、賃貸が1,116万円となり、逆転します。 短期間で不利になる主な理由は、購入時の諸費用(約347.5万円)と売却費用(約200万円)を、少ない年数で負担することになるためです。
ポイント:同じ物件・同じ家賃でも、売るときの価格が毎年1%下がるだけで、購入が有利になるまでの年数は延びます。「何年住むか」と「いくらで売れるか」はセットで考える必要があります。
この比較に含まれていないもの
結果を判断に使う前に、計算に入っていない項目が、どちらに有利に働くかを確認してください。
- 住宅ローン控除(購入に有利):条件を満たすと所得税・住民税が軽くなります。
- 賃貸の敷金・礼金・引越し時の費用(購入に有利):賃貸でも入居時にまとまった費用がかかります。
- 不動産取得税・都市計画税・リフォーム費用(賃貸に有利):購入後にかかる費用です。
- 頭金を運用できた場合の利益(賃貸に有利):今回はフルローンなので影響は小さいですが、頭金を多く入れる場合は考慮が必要です。
- 売却益にかかる税金:値上がりして利益が出た場合でも、自分が住んでいた家なら最高3,000万円の特別控除を受けられる場合があります。 要件は国税庁「マイホームを売ったときの特例」で確認してください。
- 家賃の値上がり・管理費や修繕積立金の値上がり:長く住むほど影響が大きくなります。
年数を考えるときのヒント
- 転勤・子どもの進学・親の介護など、住み替えのきっかけになりそうな時期を書き出してみる
- 「5年で売る」「10年で売る」「住み続ける」の3パターンで試算し、どれでも家計が回るかを見る
- 売却価格は横ばいだけでなく、下がるケースでも確認する
- 比べる家賃は「同じ広さ・同じ地域」で実際に借りられる金額にする
金利が上がった場合の影響は金利が1%上がったら月々いくら増える?、 返済方法による残債の違いは元利均等と元本均等の違いで解説しています。
自分の条件で確かめるには
かんたん試算では、購入価格・住む年数・家賃を入れるだけで、この記事と同じ比較ができます。 今の家賃と検討中の物件の価格を入れて、何年住めば購入の方が有利になるかを確かめてみてください。