「今の家賃を払い続けるなら、買った方が得なのでは?」と考えたことがある方は多いと思います。 答えは、物件の価格、住む年数、売るときの価格によって変わります。 この記事では、ある物件を買って何年か住み、売却した場合の実質的な支出と、同じ期間の家賃の合計がちょうど同じになる家賃を「分かれ目の家賃」として計算します。 今の家賃(または同じ条件の部屋の家賃)がこの金額より高ければ、試算上は購入の方が支出が少ないことになります。
計算の条件
- 全額をローンで購入(35年・金利1%固定・元利均等)
- 管理費・修繕積立金は各月1.5万円、固定資産税は価格×15%×1.4%の目安
- 購入時の諸費用(仲介手数料など)と、売却時の費用(売却価格の4%)を含む
- 賃貸は2年ごとに家賃1か月分の更新料
購入の実質支出は「購入時の諸費用+住んでいる間の住居費−売却時の手取り」で、何年住めば賃貸より得になる?と同じ考え方です。
売却価格が横ばいの場合
| 物件価格 | 5年住む | 10年住む | 20年住む |
|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 110,800円(年4.4%) | 81,600円(年3.3%) | 65,100円(年2.6%) |
| 5,000万円 | 163,700円(年3.9%) | 116,100円(年2.8%) | 88,900円(年2.1%) |
| 7,000万円 | 217,900円(年3.7%) | 151,200円(年2.6%) | 113,100円(年1.9%) |
5,000万円の物件に10年住む場合、分かれ目の家賃は約116,100円です。同じような部屋の家賃がこれより高ければ、この試算では購入の方が支出が少なくなります。 住む年数が長いほど分かれ目の家賃は下がり、5年では約163,700円、20年では約88,900円になります。 購入時と売却時の費用を長い期間で割ることになるためです。
売却価格が毎年1%下がる場合
| 物件価格 | 5年住む | 10年住む | 20年住む |
|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 134,000円(年5.4%) | 104,700円(年4.2%) | 85,800円(年3.4%) |
| 5,000万円 | 202,400円(年4.9%) | 154,500円(年3.7%) | 123,500円(年3.0%) |
| 7,000万円 | 272,100円(年4.7%) | 205,000円(年3.5%) | 161,400円(年2.8%) |
価格が下がると売却時の手取りが減るため、分かれ目の家賃は上がります。5,000万円に10年住む場合、横ばいなら約116,100円だった分かれ目が、 毎年1%下がると約154,500円になります。
目安の使い方:「年間家賃 ÷ 物件価格」を計算して、表の%と比べると、同じ地域の賃貸と購入のどちらが有利か大まかにつかめます。 たとえば5,000万円の物件と同等の部屋が月18万円で借りられるなら、年間家賃は物件価格の4.3%です。
この試算で購入が有利に見えやすい理由と注意点
この試算は金利1%・全額ローンを前提にしており、次の点は含まれていません。数字を自分の判断に使う前に確認してください。
- 金利:金利が上がると購入側の支出が増え、分かれ目の家賃も上がります。
- 管理費・修繕積立金の値上がり、大規模修繕の一時金、室内のリフォーム:長く住むほど購入側の負担になります。
- 不動産取得税・都市計画税・保険の更新:購入側の費用として加わります。
- 住宅ローン控除:条件を満たせば購入側の負担が軽くなります。
- 賃貸の敷金・礼金・引越し費用、家賃の値上がり:賃貸側の負担として加わります。
- 売りたいときに希望の価格で売れるか:価格は地域や物件によって大きく違い、将来の値動きは誰にも予測できません。
また、賃貸には「家族構成や勤務地に合わせて気軽に引っ越せる」、購入には「間取りや設備を自由に変えられる」という、お金では測りにくい違いもあります。
比べる家賃の選び方
- 今住んでいる部屋の家賃ではなく、買おうとしている物件と同じ広さ・地域・築年数の部屋の家賃で比べる
- 賃貸の管理費・共益費も家賃に含めて比べる
- 同じマンション内で賃貸に出ている部屋があれば、その家賃がいちばん参考になる
頭金を入れる場合の違いは頭金ゼロで家を買っても大丈夫?、 金利の選び方は変動金利と固定金利はどっちが得?で解説しています。
自分の条件で確かめるには
かんたん試算のステップ3で家賃を入れると、購入と賃貸の支出の差がすぐに計算されます。 検討中の物件価格と、同じ条件の部屋の家賃を入れて、どちらがどれくらい有利かを確かめてみてください。